turning vane

考察や書き残したいもののアーカイブ。二次元とか速いものが多め 個人的かつ趣味の文章です。アフィリエイトブログなどへの転載禁止

これで純文学ブームがきたらどうしようw

野村美月“文学少女”シリーズを一通り読んだので感想などを。
http://www.bungakushoujo.jp/novel.html
ネタバレしているかもしれないので未読の方や興味がある方は先を読まないほうがいいかもしれません。



このお話はいろいろな文学作品に絡めたミステリーでよく出来ているお話です。
でもよく出来ているせいで「ライトノベル」の制約というものを強く意識させられました。
特に心情や謎についてはきっちりと分かりやすく描写してやらないとならないというところと、途中で厳しい展開になったとしても最後は読んでいる人に優しいお話にしなければならないというところでした。
前者はきっちりと書いているせいで読者の想像する余地をきっちりとけずり、その代わりにストーリーを展開させる都合上、分かりやすい釣り餌でミスリードを誘わないといけないので作者もずいぶん大変だと思います。
ただこれできるのって、きっちりとプロットとかを組んでいる完成形が見えている人だからであって、そこらの人がやるとはまるよなぁw

キャラクターについてですが、amazonあたりの評価を読むとキャラクターがステレオタイプという意見が多いけれど、この作品は物語の構造体勝負のお話なので、型破りなタイプのキャラクターを主軸に置いたらおそらくお話の収拾がつかないと思います。
逆にステレオタイプだからこそ、分かりやすく動いてくれて読み手が安心して読むことができるのはずいぶん考えているなぁと感じました。
んで、このお話中もっともラノベっぽい設定である遠子先輩ですが(物語を“食べちゃうくらい”に愛しているって自分で言ってるけど、まじで小説が主食とおやつだとは思わなかった)、事件という物語を読み解くものとして肉体的にも精神的にも人間のそれとは違うというのは、どの名探偵も変人である描写が多いですがそれと同じですね。
神の視点をもつキャラクターとして最後に物語を俯瞰してみなくてはいけないので、普通の人間であってはいけないという…。
しかしシリーズの最後のお話でその構造が崩壊させたカタルシスはすばらしいなと。
ハルヒなんて構造を維持するために構造が崩壊しない話にしたら、続きが書けなくなってしまったのとは対照的ですね。 
そして外伝で新しい構造が出来始めてるのも個人的には◎でした。

そしてこのシリーズを語るときに外せないのが起承転結で転結でちゃんとびっくりを仕込んでいるところです。
前述のミスリードにも関係してくるんですが、毎回「そっからそう来るか〜」みたいな感じで楽しめました。
あと遠子先輩の想像(推理ではない)に違和感があったとしても文学少女だからで片付けられるのもずるいとは思いますwww

総評としてはいろいろ豆知識が手に入るミステリーというところで、僕は大変楽しめました。
中学生とかのころに読んでたらもう少し純文とか読めてたのかなー。
あと遠子先輩が本を読むときに食べ物の味で表現するのですが、これが美味そうで夜中に読んでると大変こまるw
しかもあるカテゴリーのものを別のものでたとえるというのが移ってしまって「○○さんのゲームはハードSFだよね」みたいな表現を最近してしまいました^^

出てくる本とかまっとうな書評を読みたいならこちらを
http://d.hatena.ne.jp/sangencyaya/20090508/1241806557

あと最後に感情レベルの感想ですが、美羽がぬるい!ぬるすぎる!
やるならきっちりと周りを固めて地獄を見せようよwww
ってラノベじゃムリかw

そいやおいらの名前の元ネタでもある中島敦の展覧会がやっているらしい
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjun0906336/

めもめも