turning vane

考察や書き残したいもののアーカイブ。二次元とか速いものが多め 個人的かつ趣味の文章です。アフィリエイトブログなどへの転載禁止

イリヤの空、UFOの夏

イリヤの空、UFOの夏1〜4(秋山瑞人 電撃文庫

 TL上で話していたら、ある日小説とDVDのフルセットを渡されましたw
読み始めたら1日で読み終えるくらい”読める”小説でしたが、批評やら感想を書くのがとても難しいお話でした。

 なにせ読み終わってちょっと考えてから「ああ、こんなお話だったんだ」と思ったくらい。
展開は最初フルメタルパニックだと思って読んでいたら実は雪風だっただし、中身は難病系の皮をかぶったジュブナイルだしと、読んだ後でがらりと印象が変わりました。
多層構造になっていてラノベやら難病モノのフォーマットを意識させつつも、実はお話的には行って帰ってくるオーソドックスなパターンなので、読み解き方によってどう取ってもいいようになっているし、読者の世代によってガラリと印象が違うと思います。特に感情移入の対象を主人公の浅羽にするか、彼を監視(見守る?)榎本にするかで世代が分かるというか・・・(汗)
この辺ができるのは情報を文章に載せるのがとても上手いからだと思います。
 また設定の取捨選択がよくて、普通だったら戦闘機で戦うお話とか戦争にしちゃいそうなのに、そこら辺は舞台設定としてしか使わない(極論するとなくてもお話は成立する)のは思い切りがよくてびっくりしました。
逆に戦争とか戦闘機とかの欺瞞情報に期待した人とかどう評価してるんだろうというのは気になります。
僕なんかは若い子が己の無力さにのたうち回る話なんて大好物なんで平気ですが、最近のティーンエイジくらいは「うwはw俺wつwえwえwえwえwww」みたいなのが大好きな感じがあるんで、読めないんじゃないかと心配しちゃいます。
でもTL上だと大学生くらいの子が「夏が来たからイリヤを読む」とか「またイリヤ読んでます」みたいな書き込みがあるんだよなー。

 しかし外側をとっぱらった中身はとてもオーソドックスで、それでいてイリヤの告白あたりは男性の希望というか男のロマンはこういうシチュエーションなのかなと思ったりするところもありました。

 総評ではいろいろ考えさせられるところがある、一筋縄ではいかない良くできた作品だと思います。
2001年の作品ながら今でも名前が挙がる理由はよく分かりました。
これが全部作者の意図通りだとしたら、作者はとてもたちが悪いと思います(笑)

アニメのほうはダイジェストというか時間が足りない・・・
世界設定やら間とかが足りない上にエピソードもばっさり落とさざるおえないのはもったいない感じでした。
京アニがテレビ13本でアニメ化したらどうなるのかなー。
あ、あとブラックマンタのメカデザインが狭山さんだった。


ついでにこっちも読んだのでちょっとだけ
フルメタルパニック ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)
賀東招二 富士見ファンタジア

こっちは本当にオーソドックスなラノベ。ある意味イリヤとはスタート地点が近いにもかかわらず対極のところに行こうとしているというか・・・。
ヒロイックだし着地地点が分かっている分、安心して読めるんだけどね。
うすうす思っていたんだけどクルツは死んだままのほうがいいんじゃねーの?